陳満咲杜の「大道至簡」
 

2012年08月11日(土)

HFTの脅威

多くの銀行系ディーラーにとって、為替市場におけるHFT(フラッシュトレードと言われ、ヘッジファンドらが所有される高頻度取引システム)は頭痛の種だ。また、多くの通貨ブローカーはHFTの流行に危機感を募り、監査当局に取り締まりを要請する動きさえある。

彼らに言わすと、HFTに毎日苛立されているという。マーケットにおける通常の取引を一々邪魔してくれるくせに、市場の流動性に貢献していない。

為替ブローカー最大手のICAPはかく乱要素としてのHFTを撃退しようしている。例えば、主要統計指標が発表された後の時間差を狙う「統計アービトラージ」、つまりNYで発表される米経済指標がロンドン市場に影響してくる僅か数ミリ秒(千分の?秒)を狙う手法は取締りの対象になると発表した。

他の例では、HFTシステムが非常に早いスピードで注文を出し、また取り消してしまうから、人間トレーダーはそれの存在さえ気づくことできないという。幾ら熟練な人間トレーダーでも、オーダーを出してから取り消すには、最低300ミリ秒がかかるといわれているが、HFTシステムは同じことをやるには、1ミリ秒未満だ。

近年、株式やデリバティブ取引で急増したHFT取引の威力は外為市場にも押しかかける。それにしても、コンピューターと通信技術の発達で、1ミリ秒未満でも、億ドル単位の取引を完成できる本日では、為替マーケットは比較的に伝統色を保てるといわれている。

というのは、概算では、為替マーケットにおける取引の半分程度はなお人間トレーダーによって行われ、為替市場における人間の判断力の重要性は株式など他の金融市場より高いとみられるからだ。また、インターバンク市場であるだけに、清算機構の分散で電子取引の統一化、汎用化を阻止している側面もある。

それにもかかわらず、世界最大金融市場へ参入する可能性に憧れ、もっとも強力なHTF業者らは虎視眈々だ。株式市場取引量の低下で、多くの有力業者は為替市場に進出始まった。もっと高度に発展し、完全に規制された株式市場では、何百もの異なる取引プラットフォームが存在しているに対して、外為市場にはわずか十数個しかないという状況はHFT業者にとって魅力的だ。

いずれにせよ、為替マーケットにおけるHFTの存在感はますます高まるに違いない。そこで我々個人投資家に示唆があれば、以下の2点に集約してくるだろう。

1、 所謂スキャルビングといった超短期トレードを繰り返すトレーダーにはこれからまずます勝ち目がなくなる。

2、 経済指標発表瞬間の値動きを狙う「イベント型トレーダー」は「カモ」にされるリスクはますます高まる。

この辺の話は、実は前に書いた「スナイバーと機関銃士」に通じる部分が多いので、詳説はまた次回。



Posted at 11時50分


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プロフィール

株式会社 陳アソシエイツ

代表取締役

陳満咲杜

1992年に来日し、生活費と学費をアルバイトでまかないながら、大学時代より株投資を開始。中国情報専門紙の株式担当記者を経て黎明期のFX業界へ。香港や米国の金融機関で研修を重ね、トレーダーとしての経験を積む。GCAエフエックスバンク マネージングディレクター、イーストヒルジャパン チーフアナリストを経て独立。日本、中国、台湾地域をカバーした執筆、講演、情報サービス、投資家教育などの活動に取り組んでいる。日本テクニカルアナリスト協会検定会員。

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