陳満咲杜の「大道至簡」
 

2012年08月18日(土)

クロス通貨ペアの話

「クロス円の動きが理解できてはじめて為替相場が理解できる」・・・ある外資系バンカーが著作の中このような目次を設けていることが、より適切な表現は「クロス通貨ペアの動きを理解できてはじめて為替相場が理解できる」ということであろう。

ならぜら、より相場の全体像を掴むには、円絡みの「クロス円」に限定するのではなく、「クロス通貨ペア」全般の値動きをフォローする必要がある。クロス通貨ペアなしでは精確な相場像を把握できないと言い切れるほどだ。

まず、クロス通貨ペアの定義とは、交換関係にある両通貨のどちらも米ドルが入っていない通貨ペアである。勿論、その内の一方に円が入っていれば、クロス円というカテゴリーに入る。

次に、クロスという名称の由来に重要な意味を持つ。つまり、ドルストレート(ドルとその他外貨)通貨ペアのレートがクロス通貨ペアのレートを決める仕組みで、それぞれのビットとオファーを交差(クロス)させ、掛け算で算出する必要があるから、クロスいった呼び方が定着していたわけだ。

だから、逆計算という始点から、クロス通貨の動向から特定の通貨の動きを全面的に把握でき、その延長で相場全体像の把握につながる場合は多い。先週の相場を例としてみてみよう。

先週ユーロ/豪ドル、ユーロ/円、ユーロ/NZドル、ユーロ/ポンドなどユーロクロスはほぼすべて陽線引けとなった。それはユーロが余程強いか、それともほかの通貨が余程弱い、のどちらかであることを示唆する現象だ。

実際、ユーロ/ドルは陽線引けとなったものの、値幅は限定的だったから、値幅が相対的に大きかったユーロ/豪ドルとユーロ/円に鑑み、先週豪ドルと円が弱かったことが分かる。

そして豪ドル/円の週足も陽線だったので、より弱いのは円であることを確定できる。だから、ドル/円は一番上昇幅を有していたはずで、ユーロクロスの中、先週ユーロ円のパフォーマンスが一番よかったわけだ。

そして、EUソブリン危機の進行でユーロ暴落論が根強いなか、ユーロ/円の上昇は示唆を富む。なぜなら、クロス円なので、ユーロ/円の上昇は仮にドル/円が暴騰したとしても、同時にユーロ/ドルが少なくとも暴落を回避できたでない限り、実現しにくいものだ。

しかし、ドル/円のみの暴騰はなかなか足許の状況では考えにくい。なぜなら、かなりリスクオンのムードが強くないと、円売りは進めにくいからだ。その上、クロス円の仕組みから考えても、ドル/円のみ暴騰といった話しには矛盾が生じる。詳説はまた次回。



Posted at 23時48分


ページのトップへ ページのトップへ

Sponsor AD

プロフィール

株式会社 陳アソシエイツ

代表取締役

陳満咲杜

1992年に来日し、生活費と学費をアルバイトでまかないながら、大学時代より株投資を開始。中国情報専門紙の株式担当記者を経て黎明期のFX業界へ。香港や米国の金融機関で研修を重ね、トレーダーとしての経験を積む。GCAエフエックスバンク マネージングディレクター、イーストヒルジャパン チーフアナリストを経て独立。日本、中国、台湾地域をカバーした執筆、講演、情報サービス、投資家教育などの活動に取り組んでいる。日本テクニカルアナリスト協会検定会員。

最近の記事

スポンサードリンク

2012/8

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

検索


当サイトコメントについて

当コメントは情報提供のみを目的として作成されたものであり、投資に関してはご自身でご判断くださいますようお願い致します。また、当資料は著作物であり著作権法により保護されております。無断で全文または一部を転載することはできません。

RSS1.0

[Login]


powered by a-blog
Copyright © 2012 PhiConcept,inc All rights reserved.