陳満咲杜の「大道至簡」
 

2012年08月26日(日)

クロス通貨ペアの話(3)

23日ユーロ/ドルは1.2600関門手前に迫った。ユーロの切り返しはファンダ上の理由や背景をもって説明するのがもっぱらだが、テクニカル上の視点のほうがより大事だ。

当然のように、ユーロ/ドルはもっとも重要なドルストレート通貨ペアであるが、ユーロ全体の状況を精確に把握するにはユーロクロス通貨ペアをきちんとフォローする必要がある。ユーロクロスはユーロ/ドルの値動きによって形成される一方、ユーロクロスの値動きはユーロ/ドルのレート形成にも影響を及ばす、こういったインターラクティブの関係はクロス通貨ペアとドルストレート通貨ペア全般に言えるが、ユーロクロスの重要性は格別である。

というのは、ドル以外、ユーロはもっとも重要な通貨となるから、ユーロクロスとは言え、多くの通貨ペアはドルストレートと同様、直接インターバンク市場にて取引されている。ユーロ/円、ユーロ/ポンド、ユーロ/スイス、ユーロ/豪ドルなど通貨ペアは大きな取引高を誇り、ドルストレートに大きな影響を与えている。そのうち、ユーロ/スイスフランのように、ドル/スイスフラン以上に影響力を持つから、ドル/スイスフランのレートは実にユーロ/ドルとユーロ/スイスフランの掛け算によって算出されると言われるほどだ。 (この場合、ドル/スイスフランはユーロ/ドルとユーロ/スイスフランのクロス通貨ペアと化していると言っても過言ではない)

ゆえに、賢いトレーダーほどクロス通貨ペアの動向を重視し、そしてユーロクロスの値動きから目を離さない。最近の事例では、ユーロ/ドル、ユーロ/円、ユーロ/ポンドがほぼ同じタイミングで(7月24、23)底打ちしたのは好例であろう。

その上、ユーロの切り返し、継続かつモメンタムを増していくことを察知するには、所謂ユーロキャリーが発生しやすい通貨ペアの動向をフォローしておくのはもっとも近道であった。こういった通貨ペアにはユーロ/豪ドル、ユーロ/NZドルらは代表的な存在だ。

もっとも、キャリートレードとは安い金利(或いはその見通しである)の通貨を借り入れ、高い金利の通貨に転換し、その金利差を享受する手法だが、肝心なのはトレンドが継続していることだ。

つまり、想定される一定の期間において、高金利通貨のほうが継続的に上昇し、低金利通貨のほうが継続的に下落しなければならない。そうでなかれば、金利差を得たとしても、高金利通貨の下落と低金利通貨の上昇によって生じた価格差がもたらす損失のほうははるかに大きいので、キャリートレードは崩壊することになる。

その上、キャリートレードが発生しているかどうかは実に判定に難しい場合が多い。高金利通貨ベアが買われるのは単純に金利が高いからといった理由のみではないからだ。それにしても、ユーロキャリーと言われる通貨ペアをよく観察すれば、多くのヒントを得られると思う。



Posted at 23時47分


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プロフィール

株式会社 陳アソシエイツ

代表取締役

陳満咲杜

1992年に来日し、生活費と学費をアルバイトでまかないながら、大学時代より株投資を開始。中国情報専門紙の株式担当記者を経て黎明期のFX業界へ。香港や米国の金融機関で研修を重ね、トレーダーとしての経験を積む。GCAエフエックスバンク マネージングディレクター、イーストヒルジャパン チーフアナリストを経て独立。日本、中国、台湾地域をカバーした執筆、講演、情報サービス、投資家教育などの活動に取り組んでいる。日本テクニカルアナリスト協会検定会員。

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