陳満咲杜の「大道至簡」
 

2012年09月02日(日)

クロス通貨ペアの話(4)

前回ではユーロクロスの重要性を強調していた。そして、所謂ユーロキャリートレードにも触れていたが、キャリートレードの発生と認定は往々にして事後型であることを強調しておきたい。というのは、高金利通貨が買われたのは、単純に金利が高いのみではなく、高金利通貨自体が上昇するトレンドにあるから、ロング筋の動機はキャリートレードであるかどうかは定めない。

逆に言えば、高金利通貨とは言え、買われるではなく売られる場合があり、反対に低金利通貨のほうが継続的に買われるケースも多い。最近の好例は低金利の円であろう。07年サブプライムや08年リーマンショック以降、円はほぼ一貫的に買われ、本日になってもなお高値圏での推移に留まっている。

もっとも、ユーロ/円などクロス円を含め、円全体の強さは07年前半まで進行していた円キャリートレードの反動といった側面が強く、円キャリートレードの崩壊がもたらした結果でも言える。このような教訓を生かして、昨今の市況を察知できるヒントを得られるではないかと思う。

8月ではユーロ/ドル陽線引けとなり、1.2600関門を打診した。ドルストレートとクロス通貨ペアの関係に鑑み、ユーロクロスからユーロ/ドル反騰の兆しを探れるはずで、反対もしっかりである。従って、ユーロクロスの状況からみていくのは重要である。

一言ユーロクロスとは言え、実はそれぞれ異なる部分がある。ユーロ/ポンドはユーロ/円と違い、当然ユーロ/豪ドルとも違ってくる。たとえ同じくヨーロッパ通貨同士でも、ユーロ/ポンドとユーロ/スイスフランも随分違う。

ユーロ/ポンドとユーロ/スイスフランの違いは厳密にいえばポンドとスイスフランの違いだ。ファンダメンタルズ的な背景に関して、究極な表現とすれば、スイスフランはリスク回避先と見なされ、ポンドはそうではないないところだ。その上、周知されたように、スイス当局はスイスフラン高を阻止するため、マーケットに「無制限」介入を繰り返しており、ユーロ/スイスフランは年初来ほぼ動かない状態に陥っているから、値動きからまったくシグナルを読み取れない。

一方、ユーロ/ポンドは違う。こういった介入のリスクが全くない上、量的緩和も再三実施してきたポンドの値動きから相当シグナルを読み取れるはずだ。実際、2011年7月高値からユーロ/ポンドは大きな下落トレンドを形成しており、今でもメイントレンドとしてベア相場を維持しているとみられる。

本来、量的緩和が実施される通貨には大きな切り下げ圧力を掛かり、弱い変動に辿るはずだが、それでもユーロに対して継続的に買われたのは他ならぬ、ギリシャ危機、イタリア危機、そしてスペイン危機といったEUソブリン危機の連続といった大きな背景が利いているからだ。換言すれば、ユーロ/ポンドのメイントレンドはユーロの弱さを強く示唆していた。



Posted at 23時33分


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プロフィール

株式会社 陳アソシエイツ

代表取締役

陳満咲杜

1992年に来日し、生活費と学費をアルバイトでまかないながら、大学時代より株投資を開始。中国情報専門紙の株式担当記者を経て黎明期のFX業界へ。香港や米国の金融機関で研修を重ね、トレーダーとしての経験を積む。GCAエフエックスバンク マネージングディレクター、イーストヒルジャパン チーフアナリストを経て独立。日本、中国、台湾地域をカバーした執筆、講演、情報サービス、投資家教育などの活動に取り組んでいる。日本テクニカルアナリスト協会検定会員。

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