水谷文雄の「為替 ケ・セラ・セラ」
 

2016年02月11日(木)

信用不安発芽、そしてFRB今年中の利上げに疑問符点灯!

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今日は休日ながら為替・金融市場は大荒れ、家にとどまり分析、そしてちょっと為替市場に手を出しています。建国記念日だからこの日を月曜日に動かすことは難しいと言うことか。今日の写真も皇居二の丸公園の一風景です。見事な石垣には先人の技術を凝縮しているようです。これからも気分転換に時間があれば行きたいものですね。

原油安が進み、ここに来て信用不安説が台頭してきたようです。原油安からロシア経済が傷んでいるようです。ドイツは多額の投資資金をロシア企業に出している。不良債権が積み上がっているようで、その結果ドイツ銀行に信用不安説が出てきている。その副産物としてユーロ圏のラテン諸国の債券利回りが上昇している。ギリシャ10年債11.27%、ポルトガル10年債3.55%となっている。スペイン債10年は1.73%と落ち着いた動き。ドイツ銀行他その他金融機関も信用不安増幅、そしてこれらの国の債券投資を引き揚げるのではないかとの観測が強まってきているのではと推測します。そして米国では予想通りシェール・オイル・ガス産業の経営悪化がここにきて表面化してきているようです。採算ラインが50ドルと言われてきて、現在27ドル台の原油相場では当然と言えます。不良債権化が心配され、銀行・証券の株式が軟調になっている。そして中国景気減速感はそうした不安感を増幅している。FRBはその状況を熟知している。利上げなどできないと本音では。

そしてそんな中のイエレンFRB議長の議会証言です。市場の不安感を冷やす役目のようです。the central bank had increased trepidation over the path of interest-rate increases, pointing to accumulating risks to the economy in recent weeks.(FRBはここ数週間の経済のリスクが増してきており、金利引き上げの道への恐怖(trepidation)が増幅してしまった。)と語りました。つまり利上げペース減速と日経新聞の見出し通りの内容です。しかし利下げが必要になる状況になるとは考えていないとしています。利上げと言う選択肢を捨ててしまった訳でもない。NY株式市場はイエレン議長のごく自然な発言に大きくは上昇しなく、やや下落する反応をしたようです。私は金利債券市場の動きで判断したい。10年米国債1.67%、そして2年債とのイールドカーブを見ると、98bpsと初めて100pbsを下回り、フラットニング(平坦化)が進む動き。そして短期金利先物ユーロドル(3ヶ月物)12月限0.72%と、FRBが今年1回0.25%利上げを織り込む水準の0.75%を下回ってきています。当面は0.60〜0.80%との行き交う動きでは。今年中の利上げには明確に疑問符をつけたと言えます。1.00%方向になれば利上げが現実的になります。利上げが今年行われないと見込み、金利差からはドル下落方向になると言えます。ドル安は米国経済にも良い影響を与える。米当局はドル高懸念を昨年は示唆していましたが、今年は無言で押し通す。ドル安効果を明確に言う訳には行かない。

為替市場を見ましょう。ドルインデックスは95.70水準とドル安の方向性を示しています。これが現在の相場観の方向性では言えます。この線に沿って考えないと。

ドル/円:米金利が下落基調となっており、ドルの方向性を示しています。シカゴ・ヘッジファンド筋は今年に入って円ロングのポジションに既に転換している。この先見性には感服します。原油、中国経済懸念、そしてそれから派生する銀行の信用不安、その結果のFRB金利をいじれないという状況をいち早く描き、相場観に活かしていると言える。爪の垢での煎じて飲まないといけない。そして日銀の立場も。黒田さんはあらゆる手を打っており、もう在庫はないと言うか、量的に増やす以外にない。マイナス幅を広げても、経済効果は薄い。現在では3次元金融緩和が空に描いた餅のように映ります。ドル円は財務省が為替介入をする方針以外に円安方向には向かわないというのが本音ではないかと思います。しばらく当局の動きには注意する必要があります。また原油を中心としたドル買い需要は原油価格低迷で大きく増えることはない。貿易収支は昨年の赤字体質から黒字基調に変化してきている。下記は長いスパンの日足チャートです。緑の線で大きな流れを示しました。お椀の蓋をしたような形状です。2014年からの上昇が終息する動きになっている。これを変化させるのはドル金利の大幅上昇以外にない。10年債で再び2.25%方向に向うことが絶対条件のように思います。ギャンチャートでは2014年7月18日安値(101.08)起点の1x2(114.86)を昨日下回りました。ドル円下方方向を示していると言えます。ギャンスクエアでは116の非常に重要な節目を下回り、次は111の非常に重要な節目を目指す動きを強めるのではと思います。やはりこの動きを止めるのは当局の力以外にないのではと思います。ドル金利上昇しないと、上値ではファンド筋のドル売り圧力にさらされるではと思います。下段のストキャスティックスは下値圏にとどまり、一旦戻る動きも予想される。しかし相場観の変化から上値では売り注文が多く出てくるのではと思います。時間足で見ると、20本EMAは下方曲線継続となっている。EMA水準でのSell on rally が有効のようです。

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ユーロ/ドル:ドル安相場継続のユーロ高相場となっている。フィボナッチ分析10月15日高値と12月3日安値の間の38.2%戻し(1.1121)を大きく上回り、今度はその起点の10月15日高値(1.1494)が上値目標と言えます。こちらはシカゴ筋は依然としてショートポジション。損切相場が押し上げる。ショート振りはドル安相場が止まった段階と確認してからの方が良さそうです。時間足で見ると、20本EMAは素直に上昇曲線。EMA水準でBuy on dipsの作戦が有効のようです。

ポンド/ドル:こちらもドル安相場の影響を色濃く受けている。ボリンジャーバンドの上限バンドが当面の目安。ストキャスティックスも中間位置から上方基調と言えます。門外漢通貨であり、多くは語れません。

豪ドル/ドル:ドル安と豪ドル安との綱引き具合が拮抗しているようです。シカゴ筋は小さい豪ドルショートポジションとなっている。FRB利上げがないことを重視するとポジション縮小、つまり豪ドル高の相場となる。ボリンジャーバンドの上限バンド(0.7205)に到達するかに注目したい。ミドルバンド(0.7034)がサポート。ストキャスティックスは中間位置から上方傾向を示している。RBAの利下げ観測が何れ出てくると思うのですが、ドル安相場継続である限り豪ドルショート構築には躊躇する。ドル金利上昇気配を監視することになります。時間足で見ると、20本EMAは緩やかな上方基調。Buy on dipsの作戦が有効と言えます。

NZD相場:豪ドル同様の展開にあるようです。こちらもRBNZ利下げが予想される。しかしドル安相場の中で、材料視されていません。シカゴ筋も少ないNZDショートポジションとなっている。ボリンジャーバンドの上限バンド(0.6735)がレジスタンス。これを大きく上抜けするかに注目したい。NZ経済は酪農中心にそれ程良い経済状況になく、インフレ率も低迷とやはりRBNZ当局の利下げがその内に実施の方向。

一気に書きましたが、シートベルトはきつく締めて取引に臨みたい。朝一番で売ったドル円は買い戻した方が良いようだ。当局の動きに本当に要注意。アベノミクスが崩壊しかねない現状のようだ。今頃安倍さん、麻生さん、浅川さん、黒田さんいろいろと考えているのではないかと推測します。これからレートチェック、実弾介入観測、公的資金で株買い上げなど出てくるのでしょう。黒田さんは元財務官いろいろとアイディアを積極的に出すのでしょう。短期的取引で当面は楽しみたい。金利の動きの変化にアンテナを張っておきましょう。円短期金利先物(3ヶ月物)12月限−0.075%にあります。

Mucha suerte!

ケ・セラ・セラ



Posted at 15時12分


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プロフィール

国際金融アナリスト

水谷文雄

スイス銀行(現UBS銀行)にて20年余に亘り外国為替及び金利・債券市場部門で活躍。1980年代の為替相場大変動期の為替市場を体験する数少ない為替ディーラー。ファンダメンタルズ分析、特に欧州諸国で強みを発揮し、テクニカル分析においても定評を得る。ほぼ全部門に精通する国際金融のプロフェッショナル。
プライベートではスペインとの関わりを深く持つ文化人でもあり、スペイン情報発信センターをインターネット上で主催。スペインと日本の文化・経済交流を夢見るロマンティストでもある。

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