山岡和雅の「ダックビル為替研究所」
 

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2012年05月17日(木)

ドラクマ復活は望まない欧州 [為替]


ギリシャの再選挙決定以降、
ギリシャのユーロからの離脱(ギリシャドラクマの復活)が懸念される状況が続いています。
6日の選挙後に行われたギリシャの世論調査では
ほぼ全ての調査で、6日に第二党であったSYRIZAが支持を広げ
6月17日の再選挙では第一党になることが有力になっています。
同党は、この3月に決定したIMF/EUによるギリシャへの第二次支援の条件である
財政緊縮策の破棄を公約として、支持を集めており
SYRIZAが中心となって新政権が発足した場合
緊縮策破棄→IMF/EUの支援打ち切り→ギリシャ債デフォルト→ユーロ建ての資金供給停止→ドラクマの復活という
流れが予想されることから、
ユーロ離脱の見通しが広がっているというわけです。

ただ、世論調査などによると
ギリシャ国民の実に8割がユーロからの離脱を望んではいません。
国民の支持を集めるSYRIZAは
緊縮策を破棄しても、ユーロには残れると主張しており
支持を得ているという背景もあります。

ただ、現実的な問題として
SYRIZAの言うとおり緊縮策を破棄すると
IMF/EUは支援を打ち切るのは確実と見られます。
第二次支援ですら、各国国民の支持を得られず
フランス大統領選で、現職であったサルコジ氏が敗れ、
オランド政権が出来ることとなったり、
独地方選で、与党が歴史的な大敗を期すこととなった理由の大きな一つとなっており
さらなる支援を行う必要が生じることが必至な緊縮策破棄を受け入れる余裕はおそらく無いからです。

となると、
残る選択肢は3つ。

一つ目は、SYRIZAが緊縮策破棄を強行し、ユーロ離脱。

ただ、この場合のギリシャ及びユーロ圏各国のダメージは
相当大きいと考えられます。
独経済誌ウィルトシャフツウォッヘは
ギリシャの債務変改停止を含め、ユーロ圏の損失を約2760億ユーロ(約28兆円)と試算
フランスでは3000億ユーロ程度との試算を行ったレポートも出ており、
数十兆円に及ぶ損失は覚悟しないと行けないと見られます。
もちろん、ギリシャも新通貨(ドラクマ?)の急激な切り下げによる
インフレ進行などによって、相当な痛手を負うと見られ
欧州は大混乱になるのではという見方があります。
また、ギリシャの離脱によって、
ポルトガル、スペイン、イタリア、アイルランドなど
他の財政赤字が深刻な国への波及が見られると
損失はこの限りではなく、
更に大きな混乱につながる可能性もあります。

そのため、現状では欧州各国としても
ギリシャのユーロ離脱は望んではいないようで
メルケル独首相を始め、各国首脳の発言も
離脱には否定的なトーンが目立ちます。
もっとも、議員レベルでは離脱を求める意見が多いあたりが
この問題の難しさを感じさせます。

2つめは、ギリシャが緊縮策を現行のまま受け入れることです。
SYRIZAが第一党になる確率が高いとはいえ
単独過半数にはとうてい届かないと見られ
連立政権となることがほぼ確実。
6日に議席を獲得した党の中には
いわゆるネオナチである黄金の夜明けなど、
他の党からすると、とうてい連立を組めないところもあることから
これまでの与党であり、緊縮策受け入れを決めたNDもしくはPASOKとの連立も視野に入れる必要があります。
また、実際に政権を握り、独仏をはじめとするEU諸国と交渉を行った結果
現実論に戻ってくる可能性もあり
結局は緊縮策を受け入れざるをえないという考え方です。

欧州各国はこれを望んでいますが、
ギリシャ国民の反発も強そうで、政情不安を巻き起こす可能性はあります。

最後は、緊縮策の詳細を再交渉するというもの。
ドイツなどはいやがると思われますが、
成長路線を取ったオランド氏がフランス大統領選で勝利するなど
欧州各国の国民は緊縮財政案に否定的な態度を取っており
ギリシャに対しても、
成長を意識して条件を少し緩めてくるだけの流れは少し出来てきています。
新政権側としても、
独仏などの言いなりではないぞというポーズを国民に見せることで
ある程度のガス抜きが期待できるという効果があります。

最後の選択肢は、もっとも中庸で、
結局は再支援を行う必要性も高まるなど
今後に向けて問題先送りの感もありますが
もっとも市場の混乱を避けることが出来そうなだけに、
個人的にはこの辺りで落ち着くのではと言うのが感想。
この場合、問題先送りの分、
ユーロ安は更に進みますが、
パニック的な売り(1.10割れとか、パリティ割れとか)は避けられるのではと見ています。

Posted at 16時47分 パーマリンク  コメント ( 0 )


2012年05月16日(水)

再選挙が決まったギリシャの今後とユーロ [為替]


難航していたギリシャの組閣に関しては
上位3党による組閣調整が失敗に終わり
パプリアス大統領によって
実務者などテクノクラートによる内閣発足で調整を行っていましたが
左派が正式に拒否する形で、失敗。
6月中旬(17日が第一候補、10日の可能性も)に再選挙が決まりました。

昨日は、
ロンドン市場で
15日に満期を迎える外国法準拠のギリシャ国債4.3億ユーロの償還を実施。
ギリシャ国債は、第二次支援をこの春に決める中で
民間部門関与(PSI)として、減額、借り換えが行われましたが
昨日償還期限を迎えた国債は
PSIの対象外となる外国法準拠のものであり、借り換えの対象外。
もっとも、債務交換に応じた民間部門にとってはかなり腹立たしい状況でもあり
対応が注目されていましたが
償還を行わなければ、デフォルトとなり、より一層の混乱が生じる可能性があっただけに
市場にとってはとりあえずひと息となって、ユーロドルが1.28台前半から後半まで買われる場面も見られました。

しかし、この再選挙決定で雰囲気が一変、
NY市場でユーロが値を崩し、1.27台前半に、今日の午後には一時1.2680台まで安値を更新するなど
ユーロ売りが目立つ展開となっています。

ユーロ売りが進む理由としては、
5月6日の選挙で第二党となったSYRIZA(急進左派連合)が、
再選挙では、現第一党のNDを上回って第一党となる可能性が高いこと。
IMF/EUが求める財政再建路線を拒否し
民衆の支持を得ているSYRIZAが政権を取り
実際に財政再建を拒否した場合、
IMFやEUは支援を打ち切るとみられ、
早ければ6月にもギリシャ政府の資金が枯渇、
デフォルトに陥り、
さらにはユーロ離脱の可能性も出てくることから
ユーロに強い売り圧力がかかっている状況です。

もっとも、
再選挙に関して世論調査動向を見ると、
第一党に与えられる+50議席を足しても
SYRIZAが過半数を握る可能性はそれほど高くなさそうです。
各世論調査によって支持率がちがいますが
主要な調査のうちもっともSYRIZAの支持率が高かった10日のMark/Alphaによる調査でも
議席数に直すと128程度(第一党になった場合に与えられる50議席を含む)、
連立を組みやすいDIMAR(民主左派)の議席を足しても
151には届きそうにありません。

また、ギリシャ国民は緊縮財政にこそ反対していますが
ユーロからの離脱は望まないという意見が多数
(両者は両立が難しいのでわがままとはいえますが)
SYRIZAの掲げる財政再建拒否姿勢の現実性への疑問なども出ており、
14日に行われた世論調査では、支持率が10日の時よりかなり下がるなど
今後の情勢はまだまだ不透明です。

実際にギリシャがユーロから離脱となると
ユーロドルは1.10程度まで下がるとの見通しもあり
当面はユーロの頭が重そうですが
先行きの不透明感が強く、
荒っぽい展開が予想されるだけに
慎重な投資姿勢が求められるところです。

Posted at 17時04分 パーマリンク  コメント ( 0 )


2012年05月13日(日)

今後の金融政策動向にらみ、個人消費動向に注目 〜米小売売上高 [注目材料]


ギリシャの政治問題やスペインの金融機関への懸念などが目をつく今の為替市場。
今週も欧州情勢を意識しながらの展開が続きそうな状況です。
ただ、ギリシャの政治問題などは、すぐに話が進む状況ではなく、6月17日と噂される再選挙の動向などをにらみながらの展開が当面続いていく可能性が高そうです。
一方で、米国に目を向けてみますと、5月4日に発表された4月の米雇用統計、非農業部門雇用者数(NFP)が予想の前月比16万人増に対して、わずか11.5万人増と低水準に。失業率自体は3月の8.2%から8.1%に改善したものの、労働参加率が63.6%と前回から0.2%低下して約30年ぶりの低水準になっており、求職自体をあきらめてしまったことによる労働人口減少の結果の失業率低下とみられ、雇用市場の深刻さが印象づけられる結果となりました。
もっとも、NFPは前回、前々回と上方修正されており、これだけではすぐに追加緩和(QE3)につながるかどうかは難しいところです。今後の米景気の回復状況を確認し、回復鈍化がより鮮明になると、緩和圧力につながるのではという見方が一般的なようです。
そうした中で、今週17日に米個人消費動向を密接に表す小売売上高(4月)が発表されます。
GDPの約7割を占める個人消費に鈍化傾向が見られますと、追加緩和への思惑が一気に広がる可能性もありますので、注意して見ていきたいところです。

前回3月の小売売上高は、全体で+0.8%(前月比)と、2月の+1.0%からは鈍化したものの、事前予想の+0.4%を大きく上回るしっかりとした数字になり、4月はじめの雇用統計が弱かったことで懸念が広がった米景気見通しを支える結果になりました。
ガソリン価格が上昇していたことで、ガソリンスタンド売り上げが上昇することは見込まれていましたが、他の消費がその分抑えられるとの事前見通しでしたが、実際には家具、建設資材、総合小売りなど幅広い分野で売上増が見られ、個人消費の底堅さが印象づけられる結果となりました。

こうした状況を受けての今回の発表ですが、予想はかなり弱気なものとなっています。
現状の事前予想は、全体の数字が前月比+0.2%と、前回の+0.8%から伸び率がかなり低下するとの見込みに。自動車を除くコア部分も、同じく+0.2%と、前回の+0.8%から伸び率低下の見込みです。

自動車販売に関しては、月初に発表された米国内自動車販売台数が前年比+2.3%と、まずまずの結果になっています。年率換算では1440万台と3月と同じ水準で、なかなかの好結果ですが、前回も良かっただけに、前月比で確認する小売売上高の伸びとしては、そこそこに留まる見込みです。

また、懸念されるガソリン高に関しては、EIA(米エネルギー省エネルギー情報局)が発表するデータによると、3月の全米平均が一ガロン当たり3.958ドルと、3月の3.907ドルから更に上昇。原油先物150ドルに迫り世界的な問題となった2008年夏以来の高水準になっています。
この数字を受けて、ガソリンスタンド売り上げ自体は伸びる可能性が高いものの、その分他の消費が抑えられるという見通しが、前回以上に強まっています。
雇用市場の厳しさ、景気の先行き不透明感、4ヶ月連続での上昇となったガソリン高など、個人を取り巻く環境の厳しさが、抑えめの予想につながっているといったところです。

ある程度織り込みは済んでいると見られますが
予想程度もしくはそれよりも弱い数字が出るようだと、
米追加緩和(QE3)の期待感につながって、
ドル売り、円買いの動きが強まる可能性があります。

Posted at 09時00分 パーマリンク  コメント ( 0 )


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プロフィール

株式会社GCI総研

チーフストラテジスト

山岡“ダックビル”和雅

1992年チェースマンハッタン銀行入行、外国為替ディーラーの世界に。1994年ナショナルウェストミンスター銀行(2000年に合併のためロイヤルバンクオブスコットランド銀行に行名変更)に移り、2003年3月まで10年以上にわたってインターバンクディーラーとして外国為替市場の最前線で活躍後、2003年4月からGCIグループに参画。現在GCI総研、チーフストラテジストとして情報配信サイトKlugクルークを中心に為替情報の配信や、セミナー講師などを行う。(社)日本証券アナリスト協会検定会員。

活動状況・著書

Klugクルーク
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為替・海外投資・ヘッジファンドに関するニュース・レポート・コラムを掲載
はじめての人のFX基礎知識&儲けのルール
FXの基本知識から設けるルールまでを解説
外貨投資ネットでラクラク儲かる方法
儲かるトレーディングを目指した、投資初心者向けの超入門書

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