山岡和雅の「ダックビル為替研究所」
 

2013年09月22日(日)

長期金利上昇の影響を受ける米住宅市場動向に注目  [注目材料]


先週のFOMCでは、市場が織り込みを進めていたQE縮小開始が見送られ
ビッグサプライズとなりました。
見送りの理由としては、
開始に至る確証が得られなかったということで
今月6日に発表された米雇用統計が弱く、
雇用市場の回復鈍化が懸念されたことなどが主要因とみられており
今後の雇用情勢に注目が集まる状況となっています。
また、見送りの理由としては
債務上限問題を受けてのリスクと
長期金利が前倒しで上昇している状況への懸念があげられました。

こうした中で、今週は長期金利上昇による悪影響がまともに出てくる
住宅関連指標が発表されます。
25日の米新築住宅販売(8月)と
26日の米中古住宅販売成約指数(8月)です。

米国では新築よりも中古住宅の販売市場の方が大きく
住宅市場動向を見る場合は、
先週発表された中古住宅販売件数が注目されます。
先週の同指標(8月)は7月の539万件から減少する見込み(事前予想値525万件)に対して
548万件と予想、前回を上回る好結果に。
この数字は2007年2月以来の高水準であり、
住宅市場の懸念を少し後退させるものでもありました。

ただ、中古住宅販売件数という指標には一つ問題点があります。
同数字は住宅の所有権が引き渡されたところを基準としており
実際の販売契約からはやや遅れるという点です。
一方、新築住宅販売は契約書への署名ベースであり
指標の先行性が高くなっています。

先月23日に発表された前回分の新築住宅販売件数(7月)は
年率換算で39.4万戸と、市場予想の48.5万戸を大きく下回り
さらに6月の数字も下方修正されるという弱さに。
長期金利上昇が住宅ローン金利の上昇を招いている状況が
住宅市場の回復に悪影響を及ぼし始めていることを
危惧させる内容となりました。

住宅ローンは5月に30年固定が3.35%をつけていましたが
先週は4.5%をつけるところまで水準を上げるなど
上昇傾向が顕著になっており、
住宅販売に悪影響を及ぼしている可能性が指摘されました。

先週発表された中古住宅販売件数(8月)は、
購入者が意志を決定し契約した時点は6月頃がメインとなりますので
長期金利上昇の影響をそこまで受けていない可能性もあるほか、
逆に7月以降の上昇を見込んで、急いで購入に回った可能性もあり
速報性の高い新築住宅販売件数をきちんと確認しておきたいところ。

現状の予想では42.5万戸と
7月の低水準から回復(とはいってもあまり高い水準ではありませんが)見込み
予想程度では影響は薄いと思われますが、
前回同様に40万戸を割り込むような結果が出ると
QE縮小見送りの長期化懸念にもつながり、
ドル売りを誘う可能性も。

また、中古住宅販売に関しては、契約時点でのデータを元にした
販売成約指数(販売仮契約指数・販売保留指数とも)という指標も存在し
こちらは26日23時に発表されます。
予想は前月比-1.0%と、やや弱めの数字、
前回も-1.3%と厳しい数字になっており、
今後の中古住宅販売件数に懸念を生じさせる状況となっています。
こちらも予想以上に減少が目立つようだと
懸念が拡大する可能性も。

今回のQE縮小見送りを受けて、米長期金利も一気に低下しているものの
これまでの上昇が大きかっただけに、
警戒感が残っています。
実際の縮小開始には住宅市場の回復傾向が継続していることも
重要なファクターの一つとなっているだけに
今後は米住宅市場を注意してみていきたいところです。



Posted at 09時00分


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プロフィール

株式会社GCI総研

チーフストラテジスト

山岡“ダックビル”和雅

1992年チェースマンハッタン銀行入行、外国為替ディーラーの世界に。1994年ナショナルウェストミンスター銀行(2000年に合併のためロイヤルバンクオブスコットランド銀行に行名変更)に移り、2003年3月まで10年以上にわたってインターバンクディーラーとして外国為替市場の最前線で活躍後、2003年4月からGCIグループに参画。現在GCI総研、チーフストラテジストとして情報配信サイトKlugクルークを中心に為替情報の配信や、セミナー講師などを行う。(社)日本証券アナリスト協会検定会員。

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